近年、日本でシェアホルダーアクティビズム(株主アクティビズム)が活発化しています。アクティビスト(物言う株主)による日本企業をターゲットにしたキャンペーン数が急増し、さらには、2019年の株主総会で株主提案を受けた日本企業が65社と過去最多を記録しました。このような動きの背景には、スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)とコーポレートガバナンス・コード(企業統治の行動指針)の導入・改訂など、日本政府によるコーポレートガバナンス(企業統治)改革が挙げられます。また、それ以前に日本の上場企業の株主構成は過去数十年間で大きく変化し、海外投資家の持ち株比率が増大しました。つまり、日本企業にとって、海外投資家との対話や海外メディア対応が重要性を増しています。
そこで、Kekst CNC東京オフィスは、一般社団法人日本経済団体連合会の関連組織である一般財団法人経済広報センターより、同センター主催の海外広報講演会「アクティビスト対応を踏まえた海外コミュニケーションのあり方」に講師として招かれ、コミュニケーションの観点から日本におけるシェアホルダーアクティビズムについてお話する機会をいただきました。同講演会には、日本を代表する企業の広報・IR部門などから約70名が参加し、関心の高さが示されました。
講演会にはKekst CNC東京オフィス、アジア地域代表/日本最高責任者のヨッヘン・レゲヴィーとシニアコンサルタントの大谷みな子が登壇し、日本企業のIR(投資家向け広報)・PR(広報)機能のグローバル化について説明したほか、日本におけるシェアホルダーアクティビズムとグローバルの最新動向、企業の予防・準備・対応策、そして日本企業の課題と提言についてプレゼンテーションを行いました。
プレゼンテーションでは、アクティビスト対応における重要な下記3つのステップについて解説しました:
- ステップ1. 企業自らが自社のアクティビストになり脆弱性を洗い出す
- ステップ2. IR機能を強化
- ステップ3. 各想定シナリオに基づいた対策準備
また、アクティビスト対応で最も大事な株主は他の株主であり、入念な事前準備が鍵を握ることを強調しました。
最後に、企業はこれらの要素を考慮し適切な措置を講じることで、アクティビストによる「脅威」を国際競争力確保の成長機会に変えることができると締めくくりました。
同講演会の様子は、2020年1月9日付の経団連タイムスにて、取り上げていただきました:
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海外広報講演会「アクティビスト対応を踏まえた海外コミュニケーションのあり方」を開催(2020年1月9日付け 経団連タイムス)
経済広報センター(中西宏明会長)は12月16日、東京・大手町の経団連会館で、Kekst CNCアジア地域代表・日本最高責任者のヨッヘン・レゲヴィー氏と同シニアコンサルタントの大谷みな子氏を招き、海外広報講演会「アクティビスト対応を踏まえた海外コミュニケーションのあり方」を開催した。
冒頭、レゲヴィー氏から、日本企業の株主構造が変化し、外国人投資家が存在感を増しているなかで、海外メディア対応や外国人投資家との対話の重要性が高まっているとの説明があった。続いて大谷氏は、物言う株主が日本において存在感を増している背景や彼らの要求事項などについて事例を引用し解説した。
さらに、両者は、グローバルに活動するアクティビストのアプローチ手法を含めた最近の傾向を紹介。これらに対する企業側の予防、準備そして対応について解説するとともに、シェアホルダー・アクティビズムに関する日本メディアの論調に肯定的な面も出てきている点を指摘した。そのうえで、アクティビスト対策のカギは、広報を含めた平時からの準備にあり、アクティビストの活動を脅威ではなく成長機会ととらえることが重要であると提案を行い、プレゼンテーションを締めくくった。
同後援会には約70名が参加。海外メディアへの対応方法などについても活発な質疑応答が行われ、海外コミュニケーションへの関心の高さが示された。
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